人生の羅針盤

本の紹介、悩み相談

職場の人間関係に悩む、すべてのひとへ






今回は、北野唯我氏の


「天才を殺す凡人」をご紹介します。


この世界は、


『天才』  『秀才』  『凡人』  でできている。


しかし、三者は殺しあうことがある。









物語の主人公は、会社創立からのベテラン社員。
女性経営者、上納アンナに惚れ込み、共に困難をくぐり抜けてきた戦友です。


しかし、時代の流れには逆らえず、会社は赤字続き。
外資系出身の神咲秀一が最高財務責任者に就任してから、会社には実力主義が敷かれるようになりました。


そのすばらしい才能で会社を創立した上納アンナは、今まさに社長の座を降格されそうに
…天才が一人、殺されそうになっているのでした。



では、本題に参りましょう。



世界の人口の大まかな割合は.....


天才.....10%
秀才、凡人.....90%


・天才とは0→1を生み出せる人間、
・秀才とは論理的な数字を使って説明できる人間
・凡人とは共感性で他人に理解してもらえる人間


大さっぱに書きましたが、このように思ってください。
かくいう私はもちろん凡人です。


本書の主人公は広報課に属する凡人の「僕」ですが、
社長のイメージアップをできずに悩んでいます。
そんな時に、忠犬ハチ公の銅像が消えるという事件が起きます。
そして消えた忠犬ハチ公は「僕」の前に現れるのでした。
ハチ公(ケンと呼ばれます)は主人公が直面する様々な課題にたいして助言をしてくれます。
例えば多数決で決まってしまった会議に対して、多数決は天才を殺すナイフだと助言しています。
そもそも天才と凡人とでは思考のベクトルが違います。
天才は「世界が良くするという意味で創造的か」で評価をとる。
凡人は「その人の考えに共感できるか」で評価をとる。


こんな思考のベクトルの違いの中、多数決をとっても結果は目に見えています。
Uberやiphoneのような革新的サービスが生まれる前には、
必ず凡人によって殺されそうになっているのです。




もう一つの評価の話で、ケンは、評価基準がはっきりと目に見えるものかどうかとい点
を上げています。


すべのビジネスは
作る→拡大する→お金になる
というプロセスで進められています。


そのうち拡大する項目は事業KPIで測ることができるし、
お金になるという項目は財務上のKPIで測ることができます。


しかし作るという項目においては、測る指標がないのです。


これは大企業がイノベーションを生まない理由として
あげられています。
....そうですよね、少人数の中小企業ならKPI主体ではなく
従業員の小さな気づきや小回りの利く経営、
良くも悪くも「勘」がおおいのですから。


しかし、多数決にもいい面があります。それは
「結果を出せばオセロのように一気に覆る」
ということです。
テレビを見ていてもそうではないでしょうか.....
新商品に著名人が高評価をしたとたんその商品が飛ぶように売れる...
著名人が評価する前は鳴かず飛ばずだったはずです。
つまり、凡人がカギを握っているのです。それは天才を殺すことにも.....


物語形式をとっている本書ですが、こういった本にありがりがちな抽象的な表現や精神論は極力避けられていて、具体的な判例やデータに基づいた仮説が多く、著者の北野唯我氏の経験の豊富さには脱帽しました。


人を(天才や秀才を)うらやむ事が多い人生でしたが、凡人には凡人なりの、
秀才には秀才なりの天才には天才なりの戦い方があるんだと気づかされました。
人それぞれ役割があり、うまく世界は回っているんですね。



自分の意見がうまく伝わらない方、
上司とそりが合わず悩んでいる方、
このままこの会社いいていいのか不安に思っている方、


ぜひ一度、読んでみてください。

料理の科学…素朴な疑問に答えます…





本日の本の紹介はアメリカの科学教授ロバートウォルク氏の
「料理の科学」です。



仕事柄、料理は最も重要なファクターです。
新メニューを開発したり、既存のメニューをレベルアップさせたり…
優先はお客様が喜んでくれるかどうか、従業員のオペレーションが間に合うか、といったことを軸に考えるのですが、その際、今までの経験をもとに考えてしまうと、どうしても昔ながらのやり方になりがちでした。


例えば…


「下茹でするときに水に酢を入れると鍋のアクが出にくいので必ずひと手間加える」
「電子レンジは邪道なので使わない、必ず火にかける」
「バターといえばフランス産だよね」
「科学調味料なんて使わないよ、時間をかけて素材の旨みを引き出さなければ」


等々…
確かにそういった料理を作れるに越したことはありません。
しかしそればかりにこだわってしまうと、現場の人間に長時間労働をさせてしまうことになるのです。
個人店ならまだしも、我々はたくさんの人が働いてくれている営利企業。




『最小の努力で最大の成果を』




が求められているのです。


この本はそんな昔ながらの料理人のノウハウに対して、科学的に、根本からの


「なぜ、そうなるのか」


に答えてくれています。
(実際にレシピなども掲載されています。)


・電子レンジが物を温める仕組み
・白砂糖は体に悪いのか
・フランス産のバターがおいしいのは脂肪の含有量の決まりが他の国よりおおい為


といった科学的なことから、


・シャンパンの上手な開け方
・レストランでのコルクの扱い方
・クラッカーに穴があるのはどうして


等のフフっとなるトリビア的なものまで…











科学の本というよりは語り口調で書かれていて、
冗談も交えながらの語り口調の文体でしたので、
とても楽しく読み進めることが出来ました。
(昔流行した空想科学読本のようなイメージです。)


私のように飲食店の方でなくても
少しでも料理をする方であればより一層の楽しみが得られるのではないかと思います。


一巻、二巻の二部構成です。

チーズはどこへ消えた?から学ぶ人生哲学


医学博士、スペンサー・ジョンソン氏の名著「チーズはどこへ消えた?」のご紹介です。





ある日、元クラスメートだった仲間が、久しぶりに集まって現状報告をします。
親の仕事の跡を継いだ者、事業を立ち上げた者、進んでいる道はバラバラですが、みな一様に一つの壁にぶち当たっています。
それは、時代の変化についていけていないのではないかという不安。
変りたいけど、変ることが怖い。変ろうにも、どうすればいいのかがわからない。




そんな中、メンバーの1人が面白い話があると言いだします。
「その物語のおかげで、変化に対する見方が変ったんだ。変化とは、何かを失うことだと思っていたのだが、何かを得る事なのだ、とね」





物語は2匹のネズミと2人の小人を主人公にして進みます。
全員の日課はずばり、チーズを探すこと。
迷宮にはチーズステーションがいくつかあり、それを見つけると単純に飢えることがなくなり、良い暮らしができます。



(ここで言うチーズとは、お金、名声、権威等の比喩です。)



そしてついに4人は大きなチーズステーションをみつけます。


小人たちの日課はすっかりかわりました。
朝は遅く起きてチーズステーションに向かい、毎日チーズを食べながら過ごします。
「僕らはそれだけのことをしたんだ。長い間勤勉に働いたしこれを見つけるのは大変だったもの」


一方ネズミたちの日課は、チーズに前日と変わったことはないか、じっくり調べることから始まります。そして調べ終えるとゆっくり腰を下ろしてチーズをかじるのでした。


ところがある日、チーズステーションにあるはずだったチーズが消えています。
小人たちは慌てふためきます。
「チーズがないじゃないか!」「こんなことがあっていいはずがない!」


ネズミたちは、すぐさま次のチーズステーションを探す準備をしだしました。
毎日少しづつ減っていくチーズを見ながら、いつかなくなるのではと想像していてのです。



『自分のチーズが大事であればあるほど、それにしがみつきたくなる』



何日か経っても小人たちはその場所を動こうとしませんでした。
「いつかチーズが戻ってくるかもしれない」
小人たちは段々腹が立ってきました。
「あのチーズをもとにして将来設計をしていたのに」
「こうなったのは我々のせいじゃない。誰か他の人のせいだ」
「こうなったことで、何かをもらうべきなんだ、我々には権利があるはずだ。」


そのころ、ネズミたちは苦労のかいあって、ついに新たなチーズステーションを見つけていました。


また何日かして、小人たちの体力はどんどんなくなっていきました。
そしてようやく一人の小人が重い腰をあげ、新たなチーズステーション探しに出発します。
しかしもう一人はまだ動けずにいました。
「ここがいいんだ、居心地がいい。ここのことならよくわかってる、他の場所は危険だ」
よく眠れなくなり、2度とチーズを見つけられないのではないかという悪夢に悩まされました。



変わらなければ破滅することになる』


この後、小人たちもチーズステーションを見つけることになるのですが、
その道中で様々な格言を私たちに教えてくれます。
・恐怖を乗り越えれば楽な気持になる
・従来通りのやり方ではチーズは見つからない
・早い時期に変化に気づけば、やがて来る大きな変化にうまく対応できる
・まだ新しいチーズが見つかっていなくても、楽しんでいる自分を想像すれば実現する


等々…




今の人生に悩んだ時、人間関係、仕事の内容、etc…
時代の流れに飲まれて身動きの取れない状況かもしれません。
しかしこういうときにこそ、シンプルに考えて行動することの大切さを教えてくれる一冊でした。



何よりもやってはいけないことは、現状に満足して行動しないこと、
もしくは変化が怖くて立ち止まってしまうこと。


世界は常に変わっていくのです。その変化を楽しまなければ…